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呼吸が変わるとラクになる

人間関係のトリセツ 前編

新しい季節に始まった、新しい人間関係。この人はどんな人なんだろう? と、おそるおそるだった関係性も、なんとなくその人となりが分かり、そろそろ慣れてきたころかもしれません。人間関係とは相手のトリセツを作っていくことだ、と言われることもありますが、それについてちょっと考えてみたいとおもいます。

 

付き合う時間が長ければ長いほど、その人に関する情報が自分の中にどんどん蓄積されていきます。たとえば、この人の好きな食べ物はこれらしいとか、あの人はこれをするとちょっとイライラするらしいとか。そうして、自分が見聞きした相手の言動という情報をもとに、あの人は怒りっぽいとか、優しいとか、はたまたあの人は好き、嫌い、というふうに意識的に、あるいは無意識的に分類していきます。そんなふうにして周りの人になにかしらのラベルを貼ることは、未知のものに触れる怖さからの回避で、安心を求めるためなのかもしれません。

 

でも、「あの人は、こんな人、こんなタイプ」。そんなふうに誰かにラベルを貼っていくとき。誰かのことを理解した、と思うとき。残念なことに、その人間関係はどんどん死んでいくのだろうとおもいます。人は毎瞬変化しています。それは海のようで、波がいっときも同じ形にとどまっていないのと同じ。でも、自分が作り上げたそのトリセツとともにその人と関わるということは、過去の経験をもとにその人の定義をした自分の考えという枠の中で、その人と関わるということです。目の前にいるその人の中で「今」生き生きとしているものは、常に変化しているために、トリセツを見ていてはそれを見逃してしまうのです。