Forget for get

呼吸が変わるとラクになる

人間関係のトリセツ 後編

トリセツをちょっとわきにおいて、目の前の人と向き合ってみると、その人のことだけでなく、自分のこともよくわかるかもしれません。

 

目の前にいる人を、自分はどんなふうに分類し、ラベルを貼っているでしょうか。夫、恋人、子ども、親、やさしい人、怒りっぽい人、クールな人、おもしろい人、食いしん坊……。そんなふうに分類したりラベルを貼ったりするのは、悪いことでもなんでもありません(時に楽しかったりもしますよね。男っていつまでたっても、子ども! なんて言い合ったり)。でも、ああ自分はこの人をこんなふうに見ているんだな、ということ、ラベルは自分が貼ったものであって、その人自身ではないということを知っておくことは、その人との関係性を深める役に立つとおもいます。ラベルをはがしたところで相手と向き合う時、その人、そして自分に、今、何が起きているのかが分かりやすくなるからです。

 

たとえば、Aさんが何かをした、そして自分はその言動を冷たいと「思った」。「冷たいと思った」のは事実です、もちろん。けれども、それはAさんが「冷たい人」であるということではありません。そして、もし、Aさんのことを最初から「冷たい人」というラベル越しに見ていたとしたら、「冷たい人だからしょうがない」と、Aさんがなぜその言動をしたのかに目が向かなくなってしまいます。つまり、Aさんのことを理解する機会を失ってしまうということです。

 

誰かの言動によって、自分の心が動いたら、まずはその自分の心の動きに目を向けます。もしかしたら「あの人って心が狭い!」なんていう言葉が出てくるかもしれません。それはそれでいいのです。それが自分の中にあることをまず知ります。そうしてから、目の前の人とじっくり向き合ってみます。この人には「今」何が起きているんだろう? そんな視点を持ってみます。

 

人は常に変わり続けるものです。その変化とともにあること、つまり、自分の記憶の中のその人と対話するのではなく、今この瞬間のその人を見ることでこそ、関係が育まれていくのだろうとおもいます。