Forget for get

呼吸と体を通して、自分を思い出すこと、それは「自分」を忘れること。呼吸と日々の食事でHIVとともに生きる心と身体をケアする松永真美が、生きることを活かすこと、「生活」について綴るつれづれブログ。

あれこれ心配しなくても、私たちには調和的に生きるシステムが基本搭載されています

 冬はあたたかくさえしていればなんとなくしあわせ。しあわせのハードルが下がる季節だとおもっています。あたたかいブランケットや靴下、帽子に手袋などなど、冬にそなえてあったかグッズを準備するのはたのしいものでもあります。そして、冬に備えての準備、体もちゃんと見えないところでしてくれています。

 耳にしたことがある方もいるかもしれませんが「ホメオスタシス(生体恒常性)」という仕組みが人には備わっています。生きていく中では、温度や湿度など外側の環境は変化していきますが、そんな変化があっても、体の状態を一定に保とうとする仕組みです。この仕組みがあるために、夏の暑いときに体温がどんどん上がり続けることはないですし、冬になって気温が下がったからといって体温も下がっていくことはなく、1年を通してほぼ同じ体温を保っているわけです。環境の変化に反応して体を働かせ、健康な状態、生命を維持しようしています。

 私たちは腕を動かそう、と思って動かすことはできますが、汗をかこう、とおもってかけるものではありません。でも、体温が上がりすぎた、汗をかこう、なんていちいち自分でどうにかしなければならなかったら、日々大忙しです。私たちが体にいちいち言わなくても勝手に調整をしてくれる仕組みがホメオスタシスです。そんな素晴らしい機能を私たちは持って生まれてきているというわけです。

 体にそんなスーパー機能があるにもかかわらず、現代に生きる私たちは、どうも体よりも頭を優先してしまうようです。食べ物が必要になれば空腹感を感じさせ、水分が必要になればのどの渇きを感じさせるように、体の状態の変化に応じて、いろいろなサインを出して行動をうながしているのも、ホメオスタシスという仕組みによるものです。

 それなのに私たちはお腹が空いてもいないのに食べたり、体がだるいのに体にムチを打って活動したりします。そんなことを続けていると、体は本来の機能を働かせられなくなってしまいます。

 体の声を聴いてみましょう。お腹が空いたら食べ、お腹が一杯なら食べない。寒さを感じたら、体を温め、疲れたら休息をとりましょう。

あれこれ心配しなくても、私たちには調和的に生きるシステムが基本搭載されています。

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急に寒くなった日、テンションだだ下がりの猫。猫は、心地のいい場所を探すのが得意です。冬は家の中でいちばんあたたかい場所にいますし、夏はいちばん涼しい場所にいます。

 
 また、「ホメオスタシス(生体恒常性)」という仕組みは、いわば安定させる仕組み。つまり、わたしたちには、変化よりも安定を求める性質があるともいえます。そして、それは体だけでなく、心にも同じように作用します。

 「変わりたい!」そんなふうに思うとき、わたしたちは一気に変わろうとします。「健康になりたい」と思えば、早寝早起きをして、食事は腹八分目、これは食べない、あれは絶対食べる、などいろいろな項目をかかげ、それを実行しようとしては三日坊主で終わってしまう……。

 大きな変化は、思考としては大満足です。自分にはそれを実行するだけの力があると思えますし、達成感も味わえます。でも、体的には大きな変化はストレス。ホメオスタシスの仕組みにより、もとに戻そうとします。結果、いろいろ目標を掲げたけれどすぐに挫折、ということになるわけです。自分の意志力が弱いからとか、怠惰だからとか、そんなふうに自分を責めるのはナンセンス。もともと備わった仕組みにはあらがえません。

 では、わたしたちは変わることができないのかというと、そんなことはありません。変わりたいのであれば、少しずつ、ゆっくりと。実はこれは、思考としてはまったくおもしろくありません。思考にとって大切なのは「やった感」。地味なことをコツコツと続けるのは、苦手とするところです。でも、ここでこそ「意志力」を使うときです。体に備わった機能に反することをするよりも、意志力で思考をコントロールするほうがまだラクです。

 「なにかをしよう!」「変わろう!」そう思ったら、少しずつ、少しずつ。そして十分になじんでから次のステップへ。「すぐに結果を!」「前へ!前へ!」というスピード感をよしとすることに慣れていると、じれったく感じるかもしれません。でも、小さなことをコツコツと。これがいちばんストレスが少なく、心身に無理強いすることなく、早く変化することができるとおもうのです。


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